春の踊りは②

滝沢歌舞伎ZERO2021 一幕(春の踊りは①)の続きとなります。春の踊りは① - 夢はサンダーバードで


※セリフを一言一句メモしていた訳では無いので過去の滝沢歌舞伎円盤を参考にしている部分があります。 駆け足で書いているので書きたいところのみの備忘録です。



満月に散る鼠小僧~残した夢は『笑いあり、涙なし』〜

まず言いたいことはとにかく二幕は一瞬で終わりました。体感2秒と言っても過言ではないほどです。(さすがに言い過ぎ)


そして私の大好きな官兵衛を初めて見られるので始まる前からずっとドキドキでした。

鼠小僧次郎吉の葬儀

これまでと同じ鼠小僧次郎吉の葬儀シーンから始まります。木魚を叩く音と共に泣きながらお丸が登場。
スタンドマイクの前で「うっうっ……うわぁぁぁぁん!」とお馴染みの泣き芸をしながら手持ちのフェイスシールドを取り出し「飛沫をガード中でぇぇす!」としっかり感染対策。「笑いなさいよぉ!」と必死なお丸さんで少し力が抜けました。


そして話題のふわふわダテタマは「ギリギリで…いつも生きていたいから…あぁあ~!ロイヤルダテタマ、暴れま〜す!ワンワン♡ワオ〜ん!」と徳俵さんを織り交ぜつつ愛嬌たっぷりでかわいかったです。



押し込み

人が斬られ、叫び声と共に照明が赤黒く変わり黒影組がやってきます。この時からもう私の心臓は周りに聞こえてしまうのではというくらい大きく高鳴っていました。ずっと生で見たかった『向井康二』とは全く異なる人物。



「歯向かうものあらば皆殺しにしろ 江戸を血の海にしてやれ」


官兵衛の声が聞こえた時ゾクッとしました。これが官兵衛。一気に、息をしただけで斬られてしまいそうな張り詰めた空気に変わりました。
それに限らず「待望の百人斬りだ」と叫ぶ半兵衛にも本当に狂気を感じました。初めて滝沢歌舞伎を見た時も目黒くんの演技に驚かされた記憶があります。

そしてなんといってもラウール演じる以蔵。声変わりしてより一層以蔵の心情が捉えやすくなったような感じがして、すごく上から目線な言い方ですが成長を感じました。

一歩足を前に運ぶ毎に何かが壊れそう、そう思っていると官兵衛は以蔵に近付き胸元にある女物の帯を引き抜きこう言います。

「以蔵、世の中が変わっていればお前の妹、小春も無駄に死ぬことはなかっただろう」


帯を見ながら薄ら笑う官兵衛と、それを無言で取り返す以蔵。この時の目から怒りが伝わるようなラウールの演技が印象に残ってます。


団子屋へ向かう道中

「怖いよ〜怖いよ〜!」とすっぽんから金さん登場。上昇しながら「えぇここ上がるの?」と一笑い。
「金さんはどうしたらいいの〜!」と叫ぶと野良犬に吠えられ「今年は犬なの猫なのどっちなの?……やだ……なに……あ〜〜〜」と言い出し、いつもの流れが来るな?と思っていたら

「あ〜〜〜〜つくビーナス!燃えてビーナス!ぁぁっビックリし過ぎてビーナス歌っちゃったぁ」


まさかタッキー大先輩(というか滝沢副社長)のVenusが来るとは……さすがに笑いを我慢できなかったです。呼吸を整えていると銀さんも登場。この後のセクシーなBGMとピンクの照明からの流れも肩を震わせながら見ました。「ばかっ!」のほぼ渡辺翔太な銀さんもドツボです。



官兵衛たちの悪巧み

金さん銀さんが終わると会場は真っ暗になり、内臓まで響くような音と共に例の2階席に官兵衛が現れます。右斜め上を少し見上げるだけでそこに官兵衛がいて、こちらを見下ろしていました。新吉が目障りだと話す目は冷酷で何かが憑依したような顔付き。

私まで殺されるんじゃないかと思うほど。
この人がいつも口を尖らせて拗ねたり満面の笑みでもみあげ手裏剣をしている人だとは到底思えません。

どこも見ていないような目で「どうだ斬れるか」と言うと下手に半兵衛、ステージセンターに以蔵も登場。ですが私はそれを確認し、また官兵衛に目を移しました。暫くずっと見つめることが出来て本当に幸せでした。


「いずれ決着をつけねばならぬということか」という以蔵を嘲笑い新吉の居場所を突き止めろと吐き捨てる官兵衛は物悲しいような顔で、今後の展開を知っているからこそ胸が痛くなります。



辻斬りに襲われる金さん銀さん

花道から登場し、くしゃみをする銀さんに驚く金さん。

「もう!ビックリさせないでよ!」
「すみません(棒読み)」
「気をつけてねぇ」
「すみません(食い気味)」

面白すぎて声を出さないようにするので必死になりました。金さん銀さん、元気が出るので毎朝見たい。朝の情報番組の占いの前に3分くらいのミニコントして欲しい。

そして「なんだこのいかにも辻斬りに会いそうなお墓へと続く夜道は……」と状況説明をしていると、予定通り黒影組、続いて新吉もやってきます。

「鼠の猿真似しか出来ない新吉じゃねぇか」

ここの何とも言えない声色と嘲笑ったような表情もかなり良かったです。そして花道へはけるのですが綺麗な走りの官兵衛に少しばかりキュンとしました(いいシーンなのに)



大詰め

しだれ桜が綺麗に咲き誇る中「お前の夢、この新吉が受け取るぜ!」と見得を切る新吉に対し「何寝言言ってやがる」と言い切る官兵衛。

「以蔵、お前も覚悟は出来てるんだろうな」


そう言われた以蔵はもう顔付きが変わっていて、振り切ったような様子。そんな以蔵を見て少しの間をあけて刀を抜き大詰めが始まります。この時の官兵衛の「かかれ」にはどんな思いが込められているのだろうか。もうこの段階で官兵衛も以蔵の変化を汲み取っているような、いないような……。

お丸、金さん銀さんがかわいい見得を切っていき、花道からお尻ふりふりダテタマ。

続いて屋根上に安兵衛とお丸が登場。「安兵衛〜!明日の天気を教えて〜!」と言うと歌舞伎の繰上げ。

「明日の天気は〜晴れのち曇り!」
「…どっち……(小声)」

この時、次の日隣の阿部担とディズニーへ行く予定だった私は良かった雨じゃないんだ〜と普通に安兵衛を気象予報士として見ていました。


そして桜が舞う中官兵衛、半兵衛、新吉の剣舞。いよいよ終盤に近付きます。
以蔵は「新吉を切れ」と言われるますが、落ちている十手を拾い新吉へ渡し「鼠の夢、俺も乗った!」と官兵衛を裏切るのです。
激高した官兵衛、半兵衛 二人の「斬れ……皆殺しにしろ!!!」の強い声に鳥肌が立ちました。
官兵衛の裏切られたことに対する悲しみなのか憎しみなのか、もはや、全てどうでもいいとでも言いたげな表情が本当に圧巻でした。

配信ではもっとよくお顔が見えて、改めて目の焦点が合っていなかったり全く光の入らない瞳に恐怖さえ覚えました。


もう正直、ここからの以蔵と新吉の梯子だったり全員出てきたりする時も官兵衛の事が気になり過ぎて全然集中してなかったです。気付いたら官兵衛が「新吉!覚悟!」と言って音楽が止まり、その時ハッと我に返りました。

新吉が胸から小判を取り出し放つと、舞台全体にひらひらと舞い降りる小判。そのまま幕が引かれ、終了。



WITH LOVE

もう、さっきまでの出来事があまりにも非現実というか夢のような時間で、WITH LOVEのイントロが流れた時一幕〜二幕が走馬灯のように頭に浮かび、本当にエンドロールのようでした。(死ぬのかな)

幕が上がるとまたも美しいしだれ桜と、床一面の花びら。照くんが左手に持っていた花びらをふわっと投げ歌い始めます。

それからゆっくりと堪能し、上手からやって来た康二くんはオールバックになっていてかっこよかったです。同時に、本当に終わってしまうんだなと名残惜しい気持ちにも。こんなにも幸せをもらっていいのだろうか、そう思いながら9人を目に焼き付けました。

間奏で順番にスポットライトが当てられながら9人が円になり、正面を向くとフルキャストが登場し舞台前方へ。


「僕らのステージをあなたに届けよう 唄う 景色を見つめながら 今度は必ずみんなで歌おうよ 笑顔で会えるその時まで WITH LOVE」


またも、涙が零れました。(書きながらも泣いてます)
これを初めて聞いたのが確かThe Movieの特別上映の時で、その時もすごく泣いてしまった記憶があります。本当はデビューコンサートで会えるはずだったのに、とそれまでずっと心のどこかで思っていた気持ちを知っているかのようで、改めて生声で聴くと胸がギュッとなりました。



大サビを歌っている間、康二くんが一階席、二階席、三階席、全て見渡して会場にいる全ての人と目を合わせようとしていて、本当にこの人を好きになれて良かったと改めて思いました。絶対に幸せになって……











そこからはもう、立ち上がってこの思いを拍手に込めることしかできなくて、ひとつのエンターテインメントとして素晴らしいものを見せてくれた彼らにどうか伝わって欲しい、そう願いながら一心不乱に手を叩きました。










また 9人に会えますように、そうも願って。